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'64/9/4、広島県生まれ、おとめ座、O型。
青山学院大学国際政治経済学部卒。
代表作:講談社X文庫ティーンズハート「あたしのエイリアン」シリーズ。
ティーンズハート最後の作品となった『ささやきは魔法』のあとがきで男性であることを
カミングアウト。
現在「津原泰水」名義で活動中。
管理人が最初に出会った作品は、新井作品に出会って1週間後、
地元の小さい本屋にたまたま1冊だけ置いてあった『五月日記』でした。
そのせいか、シリーズ本編の主人公百武千晶よりも岡村五月への思い入れが強かったりします。
カミングアウト前のあとがきは交友関係だとか趣味だとか文体だとか、
妙な違和感がずっとあったのでむしろ男であることに納得しました。だって同性(女性)の友達が著しく少ないし。
クラスでもマイノリティーの斜め男性目線の女性イメージで。あとがきだけでも読んで欲しいな。
2004年に初めて津原泰水名義作品を読みました。
□ 新井 葉月
('73/)6/12、広島県生まれ、ふたご座、AB型。
(描きおろしページの内容から勝手に計算)
「MOVEMENT」(1988年 第6回 なかよし新人まんが賞佳作)でデビュー。
「MOVEMENT」描いた頃なんてまだ中2だったのに。(略)
ペンを持ったのは11歳頃。小6で初投稿で、中3の時「MOVEMENT」でデビューしました。
(『いちばんいい笑顔あげる』P.173より)
講談社X文庫にて、津原やすみ作品の挿絵の多くを担当。
今まで『なかよし』での連載のみだったが、
('04)現在『COMIC HIGH!』(双葉社)で連載中。
本当に少女だった頃デビューし、高校、大学、国家試験を経て兼業薬剤師漫画家。
他の漫画家さんに比べると年数の割りに作品数は少なく、作品も読みきり中心。
最初に出会った新井作品は「3センチのプライド」です。そのあとすぐに初連載「心のスウィング」が始まるのですが、
あの時期にこの2作品に出会っていなければ新井ファンにはなってなかったかもしれません。
あの頃の絵柄とか、題材とか、空気感とか、とにかくリアルに感じて、共鳴しました。正直今よりこの頃が好きです。
今はこの頃とかそれ以前の作品の影を求めているのかもしれないなあと思います。
後々知ったおまけページ情報で、好きなアーティストはZABADAK、さそり座(SWAY)、
karak、遊佐未森とか、図書館エピソードとか(『役立たずな神様』P.177)、「彼氏ほしいとは
思わなかったけど好きな人は必要と思ってたからなぁ」(『ひまわりの伝言板』P.98)とか、
明和電機ばなしとか、直感的にピンときた理由はそういうところだったのかも。
あの時新井作品に出会っていなければ、津原作品に出会うことも無かったという意味でも、わたしにとって大切に思う
漫画家さんのひとりです。
□ エイリアンとわたし
小学校中学年くらいになると、周りにつられて『少女小説』といわれるジャンルに手を出すんだけど、
全然馴染めなかった時に出会ったのが津原作品でした。独特のリアリティをもった登場人物と言い回し、
間や空気感とときに格言的な台詞。親殺しのパラドクスの話とかパブロフの犬とか(元々知ってたけど)、
「かぶりをふる」という言葉の意味を知ったのもここからで、この作品たちからたくさんの事を学びました。
目次、タイトルのつけ方、坂本真希のしゃべり方、ある時は1ページハート型というような冗談のような遊び心で、
言葉を借りれば「少女漫画のパロディ」、小説家の持てる知識と趣味と経験が少女小説という形で発信されている
ことでパワーと屈折を感じました。
だから正直「あたしのエイリアン」の最後がどうなろうとどうでもいいと思っていたんですよ、
津原やすみの作品が読めれば。いや、正確には作:津原やすみ、挿絵:新井葉月の作品なら。
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津原やすみは女性であると一言も書いていないんですよね、人称代名詞を使っていない。
嘘はついていない(X文庫以外の作品を読んでいたらもしかしたら男だと分かってたのかもしれないけど、
当時は書いていたこと知らなかったですし、今も読んだ事はありません)。出てくる友だちは男性が多かったし、
出てくる映画とかミュージシャンとか、趣味嗜好が男性的という範疇を超えていたし、言い回しが
面白すぎたのでとても奇妙でしたけど。
おそらくその後津原やすみ名義で作品を書いてらっしゃらないために絶対化してしまった部分はあります。
男だと分かった上で読んだとき、津原やすみ自身も男だと自由に公言した上で
津原やすみ名義で作品を書いていたら、そうでなかった時ほど魅力を感じる事が出来ただろうか、
もちろん面白かったと思います。でも。
私は"津原やすみ"作品が好きですが"津原泰水"作品が好きなわけではないんですよ。だって長いこと
"津原泰水"の存在を知らなかったから。多分津原泰水が津原やすみとして書いているのが
好きだったと思うから。"津原泰水"作品は一冊だけ今('06)現在読みました。そりゃ面白いって話ですよ。