| 『ささやきは魔法』★★ | 
| ISBN | 4-06-199720-3 | 
| あらすじ | あたし、栗倉眸。十五歳。 彼はいないけど、素敵な電話友だちがいる。
 “人見さん”という二十五歳の青年。
 だけどまだ、彼の姿を知らないの。
 「あたし、人見さんに会いたい!」
 懇願のかいあって、ついにデートが実現。
 約束の場所には、とびきりの美青年が。
 でも、親友の妙子はこういった。
 「わたしにはだれの姿も見えなかったよ」
 人見さん、あなたっていったい・・・・・・!?
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| 目次 | 1耳の記憶 2三人のヒトミ
 3アトピー復活
 4雨上がりの街
 5アイドル顔の代役
 6妙子かく語りき
 7プラネタリウム
 8滞空時間
 9ブラック船長
 10彼の世界
 11逃避行
 12病院にて
 あとがき
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| 登場人物 | ・栗倉眸 都立高校一年生。明るくて可愛くてクラスの人気者。と自分でいってしまうあたしって、
もしかして性格悪い?
 ・人見高平
 間違い電話をかけてきた人。この声、どこかで聞いたんだけど・・・。話してるうちに気があって
電話友だちになった。もしあたしがこの人と結婚したら、ヒトミヒトミになる。
 ・栗倉操
 あたしの姉にして宿敵。短大の家政科に通ってる。この事件の犯人(嘘)。
 ・白浜妙子
 あたしの親友。頭がよくて口が悪くて、服装が信じられないほどださい。しかし得意なセンスが
パリで認められ、オートクチュール界に旋風を巻き起こす(かも)。
 ・田代瞳
 三人目のヒトミ。人見さんが本来電話をかけたかった女性。彼のプロポーズを断っちゃって。
ヒトミヒトミになるのがイヤだったのかも。
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| あとがきハイライト | ・こんにちは、少女小説界極北の作家といわれて久しい津原やすみです。 ・さて、この「あとがき」を境に、これまで厳密に守ってきたひとつのルールを崩します。
 ・とはいえ作品が少女の一人称による少女小説(のパロディーという意識だったのですが)であったため、
 ・最近はX文庫の方針も変化しているようですので、今後は実像にちかいところで
「あとがき」を書いていきます。
 ・この物語が持つイメージや眸の人物像を、僕はとても気に入っています。
 
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 当時X文庫以外で小説を書いていることを知りもしなかったので(雑誌でちびっこの小説評論を
しているのは友だちが切り抜きをくれてたのですが)、もし他の小説を知っていれば、もしかして
そのあとがきなどで事前に知る事になっていたのかもしれませんね。分からないけど。
驚きと納得が同時に押し寄せました。このカミングアウトはすごいことです。
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| 感想 | 私がおかしいと違和感を感じつつも、"津原やすみ"を女性だと信じた理由は、例えば
こういうところ。この作品でいうと、「あたしはルックスがいい。」と「自分で意識してるなんて、
性格悪い?」といってしまう主人公と、その友だち「(白浜)妙子はどちらかというと、ブスとして
認知されている。というより、女以外の生き物だ。」「妙子はブスと思われているけどブスではなく、
学校の成績がよく、頭の回転も早い。」を書けてしまうところ。なのでクラスではマイノリティだけど、
ちゃんとわかってるちょっとかわったねぇさん、というイメージが出来上がって・・・
しまわなかったですけどね!!それにしたっておかしかったもん、女だとしたら。 この作品によって、私が見えない振りをしてきていた津原作品の中にあった幻想的なものが表面化
してしまった、と思った。そういうのをあえて埋没させるくらいの言い回しの妙とかが大好きだった
ので(言葉を借りるなら少女小説のパロディという部分)、なんだかすごい寂しかったです。
これはもう少女小説ではない。"ティーンズハート"ではない。面白い、とかは置いておいて
(面白いからね)、もうぎりぎり"津原やすみ"作品ではない、と思った。今見直せば少女小説
しているのですが、当時読んだ時の印象は俄然毛色が違ったわけです。
これによって私は今までの作品にも幻想、というフィルターを外せなくなってしまった。
 クラスメイトの早見晋太郎は早見裕次郎の従弟か。妙子の従弟の玄之丞は望月玄之丞であって望月
玄之丞では無いのだけれど、こう書くのは私にはその辺望月玄之丞が何をどうして
そうなったのか、全く理解できないせいです。
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